ミスチル桜井さんの歌声に感動する3つの理由

「作詞」「作曲」続いて、桜井さんの「ボーカル」について分析していきます。

 

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ボーカルは、評価がもっとも難しいパート

ボーカルの評価はとても難しいものです。

例えば、カラオケ採点で100点の歌が良いかと言われれば微妙なところだということは誰しもわかるところでしょう。

スキマスイッチの大橋さんは桜井さんのボーカルについて喉を潰すぐらいの勢いで歌ったり、優しく歌ったり表現が豊かと評価していました。

確かに桜井さんのボーカルは優しいところ、激しいところ、高音、低音にそれぞれ魅力があります。

当たり前のように思えますが、私が思うに、そんな歌手はなかなかいません。

どちらかと言えばポップスやロックの場合、一本調子の方が聞き疲れをすることがありません。

アンチミスチルの人達が言うのは「一生懸命歌いすぎ」「聴いてて疲れる」などです。

好きと嫌いは表裏一体とは言ったもので、ファンにはたまらないところが、アンチも生んでいるわけです。

桜井さんのボーカルの魅力を3つに分けて解説

本題に入ります。

  1. 音域それぞれの魅力
  2. 下手うま
  3. 歌い方の工夫

こちらの3つに分けて、それぞれ解説します。

1.音域それぞれの魅力

前述の通り、桜井さんの歌声にはそれぞれ異なる魅力があります。

一括りにしにくいものではありますが、敢えて書き起こしてみます。

  • 低音域:色気、落ち着き
  • 中音域:少年性、一般性
  • 高音域:せつなさ、メッセージ
  • シャウト:自壊、怒り、慟哭
  • 裏声:女々しさ、優しさ

音域それぞれに独自の特性があるため、一本調子にならずに歌いこなせます。

いい意味での一本調子の王様は奥田民生さんです。

低音も高音も、どこまでも奥田民生です。

何をカバーしても奥田民生の曲になります。

それはそれですごいことです。

コブクロと「桜」を歌っているのを見た時は圧巻でした。

当然、一本調子が悪いわけではありませんが、桜井さんの場合は曲によって声の印象ががらりと変わります。

そのため、奥田民生さんと真逆の手法でどんな曲も自分の曲にして歌います。

Bank Bandでもそれは遺憾なく発揮されています。

2.下手うま?

桜井さんは間違いなくカラオケ採点で100点が出ません。

音程やリズムの正確さだけを見たら、桜井さん以上の人はいくらでもいます。

ただ、その外れ具合が魅力になっています。

おそらく桜井さん自身もそれをわかっていますし、ただ単に正確に歌うことだけに注力すれば容易にできるはずです。

人の感情、心の不安定さ、社会や自分自身に対しての不満や欺瞞を歌うのに、パーフェクトピッチのボーカルでは曲の世界(歌詞の世界)に「合わない」んです。

完全に外れていたら音痴になりますが、少しだけずれていたり不安定なところが魅力になっているわけです。

 

 

また、桜井さんの場合、多用な表現が出来るゆえにどの音域も100%明るい、暗い、甘い、などになりません。

人の感情も明るい中にも暗さがあり、暗さの中にも明るさがあります。

 

アナログレコードは「人の耳の聴こえ方に近い周波数で音を響かせる」ので、聞き心地が良いです。

それと同じで、「人の感情(≒不安定)に近い歌声」だから感動を生みやすいのではないでしょうか。

例えば「星になれたら」のように少年性を求められる曲を平井堅さんが大人の色気ムンムンで歌ったらどうでしょう?

それはそれで違う魅力が出るでしょうけれど、曲の世界に染まったボーカルではなく、歌(ボーカル)の世界に楽曲が染まるでしょう。

繰り返しますが、それが悪いわけではないです。

逆にPOP STARを桜井さんが少年性を全面に出して歌ったら、歌の主人公がもっと見えてきてキュンキュンが増すと思います。

3.歌い方の工夫

「下手うま」とも通じることですが、桜井さんはワンフレーズごとに歌い方を工夫しています。

わかりやすい例として挙げるなら「PADDLE」の歌い出しです。

※動画を取得できず※

「ほんの束の間 胸の中に巻き起こる 風 風 風」

3回「風」と歌うところで、1つ1つの歌い方が違います。

  • 最初は短く「かぜっ」
  • 2回目は「かぜー」
  • 3回目は「かぜぇえー」

ですね。

胸の中に巻き起こる風が、徐々に長くなることを表現しているのかもしれません。

 

2015年6月16日のNHK”SONGS”で密着取材が放送された際に、歌録りの終わった「未完」を聴きながら、Aメロの歌い方について「女の子に嫌われそうな気がする」と冗談半分で桜井さんが言っていましたが、「どう聴かれるか」をちゃんと意識していることがわかるシーンでした。

そういう歌い方の工夫(聴かれ方への意識)の積み重ねが「音程とリズムの正確さ」よりも大事なことを桜井さんも知っていて歌っているわけです。

つまり、

「人の感情に近い歌声をもち、さらに歌い方を工夫して、楽曲の良さ(歌の主人公)を引き出して歌っている」

ということです。

だからこそ、嫌われやすくもあります。

もっとあっさり聴きたい人もいますからね。

余談ですが、井上陽水さんが桜井さんの「い行」に心の傷を感じると発言していたことがありますが、ファンならなんとなくわかります。

 

ボーカリスト桜井さんを堪能できるおすすめ曲

最後に思い付きでそれぞれの音域ごとのおすすめ曲を挙げてみます。

 

低音域:色気、落ち着き
  • Heavenly Kiss

 

  • クラスメイト
    ※動画取得できず※
中音域:少年性、一般性
  • 星になれたら

 

  • 彩り

 

高音域:せつなさ、メッセージ
  • tomorrow never knows

 

  • スターティングオーバー

 

シャウト:自壊、怒り、慟哭
  • Rem

 

  • Door
    ※動画取得できず※

 

裏声:女々しさ、優しさ
  • 血の管
    ※動画取得できず※
  • HERO

 

まとめ

桜井さんは、

 

七色の歌声で、楽曲の世界観(主人公)を最大限まで引き立てる!

 

だからリスナーは、曲によって様々な種類の感情移入ができます。

それを「重く」感じて苦手に思う人や、BGM的に音楽を聴きたい人によっては音痴に聴こえてしまうのも理解ができます。

しかし、

曲の世界に入って音楽を楽しみたい人達にとっては、この上ないボーカリストではないでしょうか。

 

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