ミスチルの新作『SOUNDTRACKS』は高級ワインみたいなアルバムだった

ミスチルの新作「SOUNDTRACKS」について感想を書きます。
1曲ずつの感想はまた別の機会にするとして、アルバム全体についての感想を3行でまとめます。
- 音がいい!!!
- スティーヴ・フィッツモーリスとサイモン・ヘイルにプロデュース・アレンジを頼んで大正解
- 時代に合わせた曲構成
それぞれ書いていきます
音がいい!!!
1曲目の「DANCING SHOES」のイントロが流れた瞬間に「やられた!まいった!もう好き!!」と思いました笑
UKロックを彷彿させる私の好きなギターフレーズであることもありますが、とにかくその音の良さに参りました。
今回はロンドンでのアナログレコーディングという、令和時代にありえない贅沢なレコーディングの仕方をしています。
深海でもアナログレコーディングはしておりますが、個人的にはそれ以上の音の良さを感じました。
スティーヴ・フィッツモーリスとサイモン・ヘイルにプロデュース・アレンジを頼んで大正解
ミスチルといったら小林武史氏がデビューからプロデュースをしており、前作「重力と呼吸」では全曲セルフプロデュースとなりました。
「重力と呼吸」を私は「水みたいなアルバム」だと感じ、率直に言って物足りなさがありました。
■関連記事
今後もセルフプロデュースになるのかと不安視しており、できれば小林武史氏がまたやってくれたらと思っていました。
スティーヴ・フィッツモーリスをプロデューサーに迎えた今回は、20枚目のアルバムにして、ミスチルの更なる飛躍を感じ取ることができました。
メンバーのプレイヤーとしての個性を活かしつつ、サイモン・ヘイルの美しいストリングスが入り、歌を引き立てています。
それにより、歌詞の世界に入りやすいです。
※実際の歌詞も重力と呼吸よりも全体的に深みを感じられて好きです!
「Mr.Children&小林武史」をこよなく愛している私も、「Mr.Children&スティーヴ・フィッツモーリス」の組み合わせが見劣りしているように感じませんでした。
これは本当に嬉しいことです!
ミスチルは「まだまだ伸びしろがある」ことがわかりましたから!
余談ですがサイモン・ヘイルはジャミロクワイの弦アレンジもしてしてきたそうですが、君と重ねたモノローグのアウトロの弦はジャミロクワイに聴こえます笑
時代に合わせた曲構成
桜井さんもインタビューで言ってますが、長くならないように、飽きられないようにしている構成が多いです。
トータルタイムも「君に重ねたモノローグ」は例外としたら全曲、5分未満ですね。
それでも最近の曲に多い「サビ頭の曲」がないのは桜井さんの意地なのかもしれません笑
確かに「名もなき詩」のようなサビまで長く「待たせる」曲は若い人には耐え難いかもしれません。
が!
往年のファンとしては長いのに長く感じさせないAメロ、Bメロがあって、それを助走としてサビでとんでもないところまで連れていってくれるミスチルをやはり期待してしまいます。
そのため「SOUNDTRACKS」を地味なアルバムと感じる人も多いかもしれませんね。
往年のミスチルの感じで、なおかつアップテンポでロック感が全面に出ている派手目の曲(「Dance Dance Dance」的な?)が1曲くらいあっても良かったなとは思いました。
最後に
先日iPhoneを買ってからGarageBandにハマり、ほんとーーにスマホ1つで市販のCDと同レベルのものが作れる時代になったことを身に染みて思います。
ワンルームミュージックという番組があるほど、もう誰でも簡単に「ワンルームで」音楽が作れる時代になりました。
巷にはパソコンだけで作った曲がたくさんあり、それはそれで素晴らしいことだと思います。
が、
私は「SOUNDTRACKS」を聴いた後に、某有名パソコンミュージック系の方のアルバムを聴こうとしたら、とても聴く気になれなかったです。
それまで安いハウスワインを美味しく飲んでいたのに、高級なワインを飲んだら戻れなくなった感じでしょうか。
※私は安いハウスワインが大好きですが笑
特に最後の曲である「memories」は「フリーテンポ」で「打ち込み一切無し」の曲ですからね。
※「SOUNDTRACKS」のアルバムの有終の美を飾るにふさわしい曲でした。ディズニー映画のSOUNDTRACKのようです笑
これからますますパソコンだけの音楽は増えていくでしょうし、それはもう誰にも止められません。
昔と違って音楽も儲かる産業ではなくなったため、昔のように 海外レコーディングやスタジオに1000時間篭って曲を作るなんてこともなくなりつつあります。
※YOSHIKIは別格で笑
だからこそ!!
ミスチルなどの金銭面で余裕のあるアーティストさんは、是非ともこういう贅沢なレコーディングをしてほしいです。
もうこれが出来る人は極々限られた人だけですから!!
若い人からしたら「SOUNDTRACKS」は逆に「新しい音」に聴こえるんじゃないかなぁ。
重力と呼吸のインタビューで桜井さんが「カウンター」について話していました。
「たぶん僕は永遠に、何かに対してカウンターしていくってことがとても好きなんだと思う。だから『ミスター』に対して『チルドレン』だし、期待に半分応えながら、半分裏切るし。歌詞を書くうえでもメロディーを書くうえでも、予定調和をあえてつくっておいて裏返しするっていうことがすごく好きだし」
今回の「ロンドン」で「アナログレコーディング」のカウンターは最高でした!
今時の曲に寄せることも大事なことですが、是非とも「おまえら、これが本物の音だぞ?知ってっか?」くらいの「高級ワインのカウンター」を出し続けてくれることを期待しています。
期待以上の素晴らしいアルバムに乾杯!!