ミスチルの新作『重力と呼吸』は水みたいなアルバムだった

ミスチルの3年ぶりのアルバル重力と呼吸をヘビロテしています。

 

重力と呼吸

 

1曲ずつの細かい解説はまた別の機会にと思いますが、アルバム全体の感想を書きます。

賛否両論の理由

どんなアーティストがどんなアルバムを出しても賛否両論になるのは当然ですが、今回の重力と呼吸は特にすごいですね。

アマゾンレビュー見ていると面白くてずっと見れてしまいます笑

でもまぁ、私なりにその理由を3行で書くと

 

  • 水みたいなアルバム
  • 新生Mr.Childrenのデビューアルバム
  • 歌いたい(覚えたい)曲の不足

 

という感じですね。

そこには

 

  • 桜井さんの読み違い

 

が、あったので、そちらも踏まえて、インタビュー記事を照らしながら書いていきます。

 

水みたいなアルバム

私が拝聴後にまず最初に感じたのは「水みたいなアルバム」ということでした。

これはよく言えば、

 

  • なんだかんだでこれが一番だよね
  • 毎日飲むならこれだよね
  • 飲んでいるうちに美味しさがわかってきたよ
  • どんな気分でも飲めるのはやっぱり水でしょ

 

悪く言えば

 

  • 味気ないじゃん
  • おれはドリンクバーがよかったのに
  • 後味も何もないよね
  • 水ならどれも味はどれも同じじゃない?

 

というところですね。

 

良くも悪くも多くの方が「水みたい」と思ったのではないでしょうか。

桜井さんはREFLECTIONのインタビュー時にこんなことを言っています。

 

「たぶんMr.Childrenって、さあこの指とまれっていうサビでみんな思いを共有するっていう。それをお茶の間レベルでちゃんとやる存在だったけど、もう音楽全体がそれを必要としてないかもしれないと思った時に、どこにボールを投げていいのかわからないっていうのはすごくありましたけどね。『今、必要とされてるポップソングってなんだろう?』っていう、うん。だから、持ってる全部の球種を使って投げるっていう」

 

重力と呼吸は「直球勝負」ということでしょう。

「透き通るほど真っ直ぐ」とも言えそうですが、私の言葉にすれば「水みたい」であり後述する「デビューアルバム」になります。

 

新生Mr.Childrenのデビューアルバム

脱・小林武史の感じがREFLECTIONよりも強いです。

 

REFLECTION{Naked}完全限定生産盤(CD+DVD+USB)

 

REFLECTIONは23曲中、6曲が小林さんが参加しており、いい仕事をしていました。

しかし今回は1曲も、1音も小林さんはいません。

ほぼ4人のバンドサウンドで、これまでのミスチルからしたら最小限といってもいいくらいのキーボード、ストリングスが入っていて、その分、バックコーラスが増えています。

この作り方、まるで新人バンドのようです。

「海にて、心は裸になりたがる」なんて、タイトルからサウンドまでダサロック過ぎて逆にハマります笑

イントロのシンセなしにいきなり「ターントーンティーントーン」と始まっていたらもっとダサくなったのにと残念なくらいです笑

今時アマチュアバンドでもこの感じはやらないだろうなぁ。

ということで、

 

新生Mr.Childrenのデビューアルバム

 

そんな印象をもちます。

その瑞々しさが合う人も合わない人もいて当然です。

私はどうかというと、

ミスチル+小林武史をこよなく愛していたので残念な気持ちの方が大きいです。

REFLECTIONではMelodyやREMが入ることで全体のバランスがとても良くなっていました。

だから23曲でも飽きずに聴けていた部分は否めません。

重力と呼吸は10曲だけだから良かったですが、この感じで15曲とかだったらもっと評価は低くなっていたでしょう。

水はたくさん一度にはたくさん飲めないですからね。

 

歌いたい(覚えたい)曲の不足

ミスチルは日本一「歌いたい」と思わせるバンドです(断言!)

そうなるためには「いい曲だ」と思わせることが必須です。

そして、印象的なメロディー、歌詞が必須です。

印象的なメロディーと歌詞をかくことについて桜井さんは大天才です。

そして、それにバンドと小林さんがサウンドをつけて華やかにします。

前述のインタビューにある「さあこの指とまれっていうサビ」はミスチルを語る上では外せません。

 

ミスチル桜井さんの作曲のすごさを「innocent world」を例に3つに分けて解説でも書きましたが、人気曲はサビの爆発力がすさまじいです。

 

が!

 

今回は小林さんのアレンジやサウンドがどうこうという以前に、ミスチルにしては、メロディーと歌詞のインパクトが弱い曲が多いです。

そのため、一緒に歌いたい!聴きたい!になかなかなりません。

「さあこの指とまれっていうサビ」を作れることはミスチルの大きな魅力です。

それが後述する「読み違い」によって弱まっているのは残念でなりません。

 

桜井さんの読み違い発言にがっかり

特に歌詞についてはファンとしてはがっかりする発言を桜井さんがしています。

 

「リスナーの想像力をあまり信用していないっていうか、もうきっとここまでのことを深く掘り下げて書いても理解しないだろうな、ただ通り過ぎていかれるだろうなっていうのがあるんです。だから、意図的に淡泊に言葉を書いているところはあります」

 

桜井さんのこの読みは一般リスナーには当てはまります。

それこそ現代は手に取れる音楽が飽和していますから、1曲をじっくり聴く時代はもう終わったといっても過言ではないです。

 

  • 意味が1回でわかる、深読みの必要がない歌詞
  • 意味があるようなないような歌詞

 

こういった曲が巷には溢れています。

そういう曲にはそういう曲の魅力があることも確かですし、その方が一般リスナーは「疲れずに流して聴けて」いいのかもしれません。

 

しかし!

 

ミスチルファンは違います!!

 

ミスチルの歌詞は何故、多くの人の心をつかむのか!?にも書きましたが、歌詞カードを見て、歌の内容を知りたいと思って聴いていますし、そのファン期待を越える作品を作り続けてきたのが桜井さんでした。

桜井さんが一般リスナーに向けて制作したのであれば、これでいいですが、往年のミスチルファンとしては歌詞の深さにもっと魅了されたかったです。

 

それこそがミスチルの歌詞の最大の魅力です!!

他のアーティストには真似ができないです!!

 

そして、ボーカルについてもがっかりな発言をしています。

 

「例えば、MISIAさん寄りか中島みゆきさん寄りかで言ったら、今までは中島みゆきさんのように、歌の中の物語によって(自分の感情が)高ぶったら、音程は多少ずれてもよしとしていて。だって人間の感情で高ぶってるんだから当たり前じゃんって。でも今回はそれをよしとしないというか、物語の主人公になって歌うのではなく、ボーカリストとして俯瞰して歌おうと」

 

「たぶん今のリスナーは、中島みゆきさん的な歌に対して免疫力が低いんじゃないかと思うんです。みんないま歌うまいから、それは皮肉ではなくて、歌のうまい人も増えているし……そうね、5分の1ぐらい皮肉か(笑)。リスナーは機械で整理されたものを聴いてるから、それが当たり前の音楽のかたちだって思ってると思うんですよね。そこにあまりあらがう気もなくて。自分も丁寧に歌いたいなあと素直に思った。僕も今の時代的な歌になりたいと思った。そのほうが違和感なく歌が飛び込んでいくと思ったので」

 

こちらも歌詞と同様に一般リスナーに向けてなら合っていますが、

 

ミスチルファンは違います!!

 

  • 歌の主人公になる桜井さん
  • 感情が高ぶる桜井さん

 

そういう桜井さんを期待しているんです。

 

それこそが桜井さんの歌の最大の魅力です!!

他のボーカリストには真似ができないです!!

 

ミスチル桜井さんの歌声に感動する3つの理由に詳しく書いたことがありますので、興味がある方はそちらをご覧ください。

奇しくも「歌の主人公」「音程の多少のずれ」という点で、思い切り桜井さんとぶつかることを書いてます笑

ある意味で、ちゃんと桜井さんの歌の魅力を理解できていたことがわかり、嬉しくもあります笑

 

別格のhimawari

そんな中、別格の存在感を見せてくれたのがhimawariです。

 

私はミスチルの全曲の中でもベスト5に入るくらい好きです。

himawariの存在感で「重力と呼吸」というアルバムの価値をすごくあげてくれたとさえ思います。

※楽曲解説をいつかやります。

 

今後のミスチルに期待すること

重力と呼吸のようなアルバムを出すことは、今後のMr.childrenにとって大事なことと桜井さんが言っています。

 

「歌詞の内容より先にバンドが飛び込んでくる、そういう聴こえ方をしてほしかった。もしかしたら過去のアルバムが好きな人は、あまり望んでいないMr.Childrenのかたちだって思うかもしれないですね。だとしても今こういうアルバムを出すことは、今後のMr.Childrenにとって大事なことだと思います」

 

私は新しいミスチルも応援したいです。

辛口な感想を書いた割にはヘビロテしてますし笑

 

変化の仕方としてシンプルな方向だったのはまだよかったです。

バンドは成熟するとどんどんマニアックになっていきますし、その方がいろいろとラクですからね。

ポップで居続けることの方がはるかに大変だと思うので。

25周年を迎えてこういう原点回帰のようなアルバムは確かに必要なんだと思います。

 

「いつもと違う一面のミスチルを垣間見るアルバム」としてはとても楽しんで聴くことができます。

 

それこそB-SIDEのように。

 

 

ただ、

 

歌詞と歌のミスチルの魅力は変えないでほしいです!!!

「さあこの指とまれっていうサビ」の魅力も変えないでほしいです!!

 

桜井さんはこんなことも言っています。

 

「たぶん僕は永遠に、何かに対してカウンターしていくってことがとても好きなんだと思う。だから『ミスター』に対して『チルドレン』だし、期待に半分応えながら、半分裏切るし。歌詞を書くうえでもメロディーを書くうえでも、予定調和をあえてつくっておいて裏返しするっていうことがすごく好きだし」

 

で、あるなら、

 

  • 最近の「機械で整理されたボーカル」にカウンター
  • 最近の「深く掘り下げる必要がない歌詞」にカウンター

 

カウンターをするならこういうカウンターをしてください!!

「今の時代的な歌」にあらがってください!!

 

次のアルバムで期待していること

次のアルバムでは

  • リスナーは「ただ通り過ぎていかれるだけ」の人ばかりではないことを忘れないでほしい
    →今の時代的な歌は他のアーティストに任せましょう!
  • 2~3曲は小林プロデュースを入れてほしい
    →Mr.Children&小林武史もやはり聴きたい!
  • 早く出してほしい笑
    →これからもファンですから!

 

そんな期待をしています!

 

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