説教するときのコツ、説教されるときのコツ

とある喫茶店に入ったときのこと。
- シーンとした店内
- スーツ姿の30歳前後の2人組
- 上司(以下、Aさん)と部下(以下、Bさん)という関係性
- 会話が筒抜け
このような状況で、2人の会話を聞いてて「サラリーマンて大変だよなぁ」と、自分のことを棚に上げて思いました笑
「気を使う上司」と「気を使う部下」
私よりも前にいたのでどれくらいの時間、その席にいたのかは知りませんが、私が席についた時点で飲み物はもうほぼありませんでした。
そして、私が席についてから長い静寂のあと、Aさんがボソっと言った一言で一気に耳が2人の会話に引き寄せられました。
「なぁ、お前は今、幸せか?」
??????
なになに??となったことは仕方ないことです笑
以下、2人の会話が続きますが、Aさん、Bさん共にとんでもなく長い間(ま)を使って一言ずつ発してます笑
Bさん「まぁ。。はい。。」
Aさん「・・・まぁ、そうか。結婚して家買って、充実してるもんな」
Bさん「・・・まぁ。。はい。。」
Aさん「給料も満足なわけ?」
Bさん「・・・給料・・は、、自分がどうこういうことじゃないというか。。」
Aさん「・・・そうか。でも前に高橋さんについて何か言ってたことがあったよな?」
Bさん「給料の額というよりも・・・高橋さん(←AさんBさんよりももっと上司と思われる)のあの言い方についてですよ。。」
Aさん「・・・そうだな。おれも同じ場にいたからわかるよ」
(中略)
Aさん「高橋さんに何も言われないぐらいやってみたらどうだ?」
Bさん「・・今も頑張っているんですが・・」
Aさん「いや、もう120%やってさ・・・高橋さんが文句つけようないくらいにやるんだよ」
Bさん「・・・」
Aさん「きっとその後のこととかも考えてやっていると思うんだけど、後のことなんか考えずに目の前のことを全力でやってみろよ」
Bさん「・・・自分なりにやっているつもりですが。。」
Aさん「高橋さんも言い方は悪いけど一理はあると思うよ・・・俺が見てもまだ足らないなとも思うし」
Bさん「・・・そう言われると・・・自分は・・・どれほど能力がある人間だと思われているんだろうと思います・・」
Aさん「いや、そんなことないよ。本気になればやれるって」
そうして席を立ちました。
説教する人、される人
私も以前勤めていた会社でBさんと似た境遇になったことがあります。
簡単に言えば「もっとやる気を出せ」「自分で限界を決めるな」と「ゆっくり冷えた温度で鼓舞される」わけです。
そこに効率化、業務改善など論理的なことは盛り込まれません。
会社側と従業員側で考えが異なるのは当然ですし、今ならまだうまく立ち回れたかもしれませんが、若かった私はただただ苦しく反発心だけが大きくなりました。
年を重ねて、自分がそういったことを言わなくてはならない側になることも増えてきましたが、今でもこの役目(平たく言えば説教役)が大の苦手です。
大前提として後輩から嫌われる可能性が高く、個人的なメリットがほぼないからです。
率先してこの役目を「へへへ、俺様が言ったるぜ」といわんばかりにやりたがる人は問題が多いですが笑、そうではなくしっかりと引き受けている人とかは本当に偉いと思います。
真綿で首を締める
Aさんは言葉を選び感情的にならないようにゆっくり、しっかりと伝えていました。
それ自体は素晴らしいことです。
恐らく、Aさんは
- 「Bさん(部下・後輩)にどう思われようと知らねーよ」
- 「どいつもこいつも使えない奴ばかりだ」
というタイプではなく、広い意味で普通の人なんだと思います。
なんですが、、
「時間をかけて丁寧に言う伝え方」はこういう場合は実はあまりよくないんですよね。
真綿で首を締めているようなもので、結果的に相手をより追い詰めてしまうことが多いです。
私はBさん側の経験が豊富ですが笑、Aさん側になったときにAさんと同じことをやってしまいそうになるので、そうならない段取り(?)をしてから言うようにしてます。
どんな内容であっても時間が長くなるほど先輩(説教する側)の評価は落ちる
相手に気を使うのは大事ですが、所要時間も大事です。
恐らくどんな説教も要約したら1分かからず伝えられることが大半です。
例えば遅刻であれば、極端に言えば「明日から遅刻するな」で終わります。
そこに感情や周りの状況報告などが入って10倍に長引いたとしても10分です。
変な言い方ですが、1時間2時間に長引かせるためにできることは結構限られます。
- 「大体お前は普段から~」「俺が若い頃は~」という直接的に関係のない話をする
(優越感を持ちたい人がやりがち) - 同じことを何度も言う
(感情的に話す人がやりがち) - 前述のAさんのように迂回して伝える
(気を使う人がやりがち)
の3つくらいしかやれません。
すると、
- 説教するの好きな人だな
- いつ終わるんだ
- 何回目だその話
- ってか、暇なんだな
となります。
Bさんの立場の人はもちろん、周囲で聞いている人がいたら同様の感想を持ち、結果的に上司の方がアホで暇な奴扱いになってしまいます。
まぁ、どの会社にも大体1人はこれで失敗している上司がいるんじゃないでしょうか。
こういう人がいると下の者たちの団結は強まるので、悪いことばかりではないですが笑
誰かを注意する(説教する)ときに心がけること
- 誉めるときはみんなの前で、注意するときは個別にする
- 感情的にならない
- 呼び出してがっつりではなく、1人になったときを見計らってサラッという
- できるだけ簡潔にして時間をかけない
Aさんは上の2つができてましたが下の2つができていませんでした。
そしてBさんの口から「僕がまだ足りてませんでした。明日から120%出しきっていきます」と言うように誘導しましたが、できなかっただめに「高橋さん」を使って「多数決の圧」をかけています。
女性がよくやる「私はそう思わないんだけど、○○さんや○○さんは良く思ってないみたいだよ」という、自分だけは安全地帯にいようとするアレよりはマシですが笑、これもあまりよくない言い方です。
Aさん側の良い対応
会社から駅までの帰り道、休憩室などで2人になる時間をさりげなく作り「なぁ、最近仕事に集中しているか?もっと目の前のことを集中して取り組んでくれよ。おれも手伝うからさ。な?頑張ろうぜ!じゃあな!」
このくらいがいいですね笑
Bさん側の良い対応
こちらの経験豊富な笑、私が心がけているのは
- 姿勢を正して相手の目を見る
- まず話をよく聞く
- 話を要約して今後のことを伝える
ですね。
まず、口を挟まずに全ての話を聞きます。
そして
「わかりました。高橋さんとAさんが見てもよくやっていると思われるくらい明日から目の前のことを全力で取り組みます」
ですね。
「そんなこと言ったら明日からは超大変になるじゃん!」と思う方も多いでしょうけど、言っても言わなくても大変です笑
- 言った方が印象が良い
- やる気云々の話であれば、結局は感情的なものなので答えははじめからあってないようなもの
- 相手が望むことを言ったが得策
ということです。
そして明日からAさんや高橋さんに「こういう問題がありますがどうしたらいいでしょう」と積極的に聞きます。
Bさんにおすすめの本
随分前に読んだ本ですが、サラリーマンとしてうまくやるにはどうしたらいいかを「失敗例」から学べる良書です。
なんで会社側はありえないようなことを言ってくるのか、についても学ぶことができ、まさにBさんのような境遇になったときに冷静に対応できるようになります。
まとめ
- 説教する側もされる側も、サラッと簡潔に!
アホみたいな結論ですが、結局はここに落ち着く気がします。
逆に言えば「感情的」「長時間」は最悪で、叱っている方が評価をさげます。
AさんとBさんはその後どうなったんでしょうね。。